
仁和会理事長の松屋です。
子育ては、想像以上に笑いがあって、想像以上に悩みも多いもの。このコラムでは、保育現場や家庭での日常から感じたこと、役立つ情報、ちょっとした気づきをお届けします。
新米ママさん、生後1ヶ月の赤ちゃんの寝かしつけ、本当にお疲れ様です。きっと「何で寝てくれないの?」「いつになったらぐっすりと眠れるの?」と、夜の時間が眠りとの戦いだと感じているかもしれません。生後間もない新生児の頃は、大人の睡眠リズムとは別の生活リズムで動くため、ママやパパが疲れてしまうのは当然のことです。
特に、夜間の授乳や寝かしつけの負担がママに集中し、「ワンオペ」になりがちだと、体も気力もいっぱいいっぱいになりますよね。30代の母親への調査では、母親のストレス度が父親を大きく上回るという情報もあります。
でも安心してください!生後1ヶ月の赤ちゃんの成長の特徴を知って、夜の時間が少しでも楽になるための具体的なコツと方法を知るだけで、準備ができます。この記事では、赤ちゃんがぐっすりと寝るための具体的なコツを、優しく、丁寧に解説していきます。
【この記事の目次】
生後1ヶ月の睡眠の基礎:安心感を育む成長と特徴
生後1ヶ月の新生児は、大人とは別の睡眠サイクルで寝ています。この月齢の赤ちゃんは、まだ昼夜逆転している子も多いですし、眠りの時間も月齢によって変わる特徴があります。しかし、この時期の眠りと寝かしつけは、赤ちゃんの心の成長にとって必要不可欠な時間なんです。
乳児期の安心と自己肯定感の基礎

乳児期(誕生から1歳半くらいまで)の成長にとって最も大切なことは、「安心」を土台として、愛されているという感覚を育むことです。赤ちゃんはまだ外の世界に慣れていませんので、ママやパパのぬくもりや声、目線、表情に反応して安心感を得るのです。
寝かしつけという行為は、赤ちゃんに「自分は愛されている。かけがえのない存在である。」という基本的自己肯定感を育んでいくための方法の一つと言えます。乳幼児期における絶対的な自己肯定感の育成には、保護者又は保護者に代わる存在から愛情を受けることが、とっても大切だと指摘されています。赤ちゃんが快・不快を感じて泣くとき、優しく受け止めて、気持ちや行動に寄り添い、そのサインを読み取って共感的に言葉や態度で応じることで、「私は泣いても大丈夫」「私は愛されている」という自己受容と自尊感情を育みます。眠りに入る際に優しく抱っこし、安心させてあげることは、赤ちゃんの心の基盤を培うことに必要なことなんです。
この時期の赤ちゃんは、周囲の環境と関わりを通して、清潔で、肌触りのよい寝具や衣類に触れたり、抱き上げられて優しく言葉をかけられたりした時に、心身両面の快適さを感じ、満足感を得るという特徴もあります。
新生児の生活リズムを整える

生後1ヶ月の生活リズムを整えるのは難しい時期ですが、少しずつ昼夜の区別を作っていく準備をすることが大切です。
日中は、窓からの光や音を通して、外の環境に慣れさせてあげることで、赤ちゃんの睡眠と起きるリズムを整えていきましょう。昼寝の時も、夜の睡眠と区別ができるように環境を作ることが大切です。乳幼児健診では、生活リズムの不規則さについて、保護者が心配事を抱えるケースも紹介されています。焦らずに、少しずつ整えて様子を見まもっていきましょう。
夜寝る前には、大人も体を休めて安心できる環境を整えることが必要です。保護者自身の就寝・起床時間を整えることも、子どもの生活リズムを整えるために必要です。
寝かしつけのコツ(基本):抱っこと授乳と環境作りの方法

1. 抱っこと授乳の方法:安心感をあげる時
生後1ヶ月、新生児の寝かしつけの方法で最も多いのが、「抱っこ」と「授乳」(ミルクや母乳)です。 授乳は赤ちゃんに安心感を与えます。特にお腹がすいて泣くことが多い新生児は、授乳でお腹が満たされた時に眠りに入ることが多いです。授乳の際には、スマホなどを見ながらではなく、優しく目を合わせて関わっている時間を大切にすることで、愛着形成を促します。
抱っこのコツは、赤ちゃんが、ママの体に密着して安心できるように、優しく包み込まれていること。抱っこしている時の赤ちゃんは、パパやママの腕の中で背中を丸めています。いわゆるCカーブと呼ばれる丸い姿勢は、赤ちゃんにとって安心感をもたらします。抱っこで寝てくれたら、布団に寝かせる際(背中スイッチ対策)に、この姿勢をキープすることが重要になってきます。
2. 睡眠環境の準備:音と光の工夫
赤ちゃんがぐっすりと眠れる環境を整えることが重要です。環境には、温度、湿度、光、音など、赤ちゃんが体に感じる全てが含まれます。
【光】夜間の授乳やおむつ替えの時は、赤ちゃんが目を覚ましすぎないように、優しく暗い照明を使用しましょう。日中の昼寝の時は、カーテンを少し開けて自然な光を入れ、夜との区別を作るのがコツです。
【音】新生児はお腹の中で聞いていた音を安心的に感じることが多いとされます。ホワイトノイズや心音のような音を試してみるのもおすすめです。急な音は眠りを覚ましてしまう原因になるので気をつけましょう。ぬいぐるみやタオルなど、安心感を与えるベビーグッズを試してみるのもおすすめです。
3. 安全な睡眠環境と健康管理の準備
新生児の睡眠にとって、安全な布団の環境作りは最優先です。固めの布団を選び、顔が埋もれてしまうような柔らかい枕や、大きなぬいぐるみ等のベビーグッズは、窒息の原因となる可能性があるため、置かないように気をつけましょう。
また、温度と湿度の管理も大切なコツです。赤ちゃんは体温調節が苦手なので、快適な温度と湿度を整えることが大切です。環境の温度が高すぎるとSIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクが増えるとも言われていますので、大人が少し肌寒く感じる程度が目安です。優しく体を触って汗をかいていないか確認してあげることで、適切な衣服の調整ができます。
原因別寝かしつけ対処法:背中スイッチと眠りが浅い原因

1. 背中スイッチの原因と対処法
抱っこでぐっすり寝てくれた赤ちゃんを布団に寝かせた時、何かの刺激を感じて目を覚ましてしまうのが「背中スイッチ」です。生後6ヶ月くらいまでの赤ちゃんに特に多く見られる現象です。原因は、抱っこ中のCカーブが布団で真っ直ぐに伸ばされる姿勢変化、人肌と布団の温度差、そして眠りの浅さなどが重なって起こります。
背中スイッチを防ぐための対処法として、いくつかのコツがあります。
【入眠後30分待つ】赤ちゃんは大人よりも睡眠周期が短く、浅い眠りと深い眠りを繰り返します。入眠後30分ほど待つと、赤ちゃんの眠りが深くなる頃だと言われています。この時を狙って、優しく布団に寝かせると背中スイッチが起きにくいです。
【温度差をなくす】赤ちゃんを寝かせる前に布団を事前に温めておくといいです。湯たんぽなどで温め、寝かせるときはそれらを外し、人肌と布団の温度差を最小限に抑えましょう。
【姿勢をキープする】赤ちゃんを下ろすとき、頭からそっと下ろして、次に肩、背中、お尻の順番で寝かせる方法がおすすめです。抱っこ時のCカーブを保ちながら自然にベッドに降ろすと、刺激が少なく済みます。また、横向きに寝かせ、背中に丸めたタオルなどを当ててCカーブを保つ方法も安心感が続きやすくおすすめです。寝付いてから少しずつ仰向けに戻しましょう。
【パパやママの安心感】パパやママが「起きないでほしい」と焦ったり不安に思ったりすると、その緊張感が赤ちゃんに伝わり、寝付きが悪くなることもあります。深呼吸をするなど、リラックスして行うことで、赤ちゃんにも落ち着いた空気が伝わりやすくなります。
2. 昼夜逆転の原因と生活リズムを整える方法
新生児に多い昼夜逆転は、生後1ヶ月の生活リズムがまだ大人と別だという原因にあります。少しずつ昼夜の区別を作っていく準備が必要です。
【日中の活動を増やす】日中は明るい環境で寝かせ、起きている時間には優しく遊んであげることで、体を動かす機会を増やします。新生児もママやパパとの触れ合いを通して安心感を得ながら成長していきます。乳児期のビタミンD欠乏を防ぐためには、過度な日焼け止めの使用を避けて、適度な外気浴や外遊びを行うことも大切です。
【夜の環境を作る】夜寝る前の授乳やおむつ替えは、静かに、光を少なくして行うことで、夜は眠る時間だと体に覚えさせてあげるコツです。
【お腹を満たす】お腹が空いて起きることも多いので、寝る前の授乳やミルクの量を調整してみる方法も試してみましょう。おむつが濡れて気持ち悪くて起きる際にも、優しく清潔に整えてあげることで、安心感を抱いて再び眠りに入ることができます。
パパ・ママ別の関わり方:協力で心の余裕を作る

ママの心の休息とパパとの協力の方法
生後1ヶ月の育児は、ママに負担が集中しがちです。夜の寝かしつけの時にママが睡眠不足になってしまう原因になります。30代の母親のストレス度が父親を大きく上回るという情報もあります。ママの心の休息と体力回復のためにも、パパとの「共働き・共育て」を推進していくことが重要です。
パパが積極的に関わる方法は、ママの休息時間を作ることにつながります。日本の夫の家事・育児関連時間は国際的に見ても低水準であり、共働き世帯が全世帯の約3分の2となる中、育児の負担が女性に集中する「ワンオペ」を解消し、夫婦双方の帰宅時間を早め、育児・家事に充てる時間を十分に確保することなどが働き方改革の目的として挙げられています。
【夜間の交代制】夜間の寝かしつけや、授乳後の抱っこと布団への移行(背中スイッチ対策)をパパが担当する時間を作るのがおすすめです。ママがぐっすりと眠れる時間を30分でも1時間でも作ってあげることで、ママの体力と心の安心に繋がります。
【声かけと優しくタッチケア】新生児はパパの低い声や優しく触れてくれる手に安心感を感じます。パパの抱っこの方法で、赤ちゃんが寝る前に安心的な眠りを得られるコツを試してあげることができます。
大人の心の余裕を作るコツ:相談とリフレッシュ

大人が心に余裕を持って赤ちゃんに優しく接するには、休息が必要です。リフレッシュすることで、赤ちゃんの様子を肯定的にみる余裕ができます。イライラした時は深呼吸をする、お茶を飲む、好きな音楽を聴く、ストレッチを試してみるのもおすすめです。
保護者が孤立した育児で不安や悩みを抱えるケースが多いことが指摘されており、地域社会全体で子育て世帯を支援する体制の強化が進められています。例えば、市町村は妊娠・出産・育児を通じて、全ての子育て家庭の様々な困難・悩みに応えられる伴走型支援を強化するため、妊娠前からの健康情報提供や、乳幼児健診等を通じた相談機会の確保に努めています。
子育てに困難を抱える世帯に対するプッシュ型・アウトリーチ型支援を強化するため、こども家庭センターの全国展開が図られています。子育て支援センターや地域保健センター、児童相談所など、身近な場所で専門家に相談することも大切です。パパとママが協力して相談し、大人が笑顔でいることは、子どもの健やかな成長にとって必要不可欠な環境なのです。
睡眠環境と快適対策:温度、寝具、安全基準の紹介

快適な環境を整えてぐっすり寝かせる
赤ちゃんがぐっすりと眠れる環境を整えることは、寝かしつけの成功に必要不可欠です。環境が整えられた安全な場所でこそ、赤ちゃんは安心して眠ることができて成長につながります。 特に乳児の睡眠中の窒息リスクの除去としては、医学的な理由で医師からうつぶせ寝を勧められている場合以外は、子どもの顔が見える仰向けに寝かせることが重要です。睡眠前には口の中に異物等がないかを確認し、柔らかい布団やぬいぐるみ等を使用しない、またヒモ及びヒモ状のものをそばに置かないなど、安全な睡眠環境の確保を行うことが大切です。
温度と湿度の整え方と体のチェック
赤ちゃんは体温調節が苦手なので、快適な温度と湿度を整えることが大切です。エアコンの設定温度を調整し、部屋自体をある程度暖かく保つことも背中スイッチを防ぐ一つの方法です。 夜中や朝時に、授乳やおむつ替えの際に優しく体を触って汗をかいていないか確認してあげることで、適切な調整ができます。何が気になる様子があれば、体の調子もチェックしてあげることで、疾病の早期発見にもつながります。新生児は、お母さんからの免疫が残っているため熱を出すことはほとんどありませんが、生後3ヶ月未満で熱を出す場合は、入院して検査が必要になることもあるので小児科受診をおすすめします。
健やかな成長と発達を支える環境作り
乳幼児期は、生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期です。この時期に育まれた自尊心や自己制御、忍耐力といった社会情動的側面における育ちが、大人になってからの生活に影響を及ぼすことが明らかになってきました。保育所は、子どもの現在のありのままを受け止め、その心の安定を図りながらきめ細かく対応していくとともに、一人一人の子どもの可能性や育つ力を認め、尊重することが重要だと考えられています。
子どもが自発的・意欲的に関われるような環境を構成し、子どもの主体的な活動や子ども相互の関わりを大切にすることが保育では重要です。遊びには、子どもの育ちを促す様々な要素が含まれており、子どもは遊びに没頭し、自ら遊びを発展させていきながら、思考力や企画力、想像力等の諸能力を確実に伸ばしていくとされています。
まとめ:新生児の寝かしつけ成功の3つのコツ

1. 授乳・抱っこで安心感をあげる方法
生後1ヶ月の赤ちゃんにとって最も必要なのは、ママやパパとの密接な関わりから得られる「安心」です。授乳やおむつ替えの際に、優しく言葉をかけながら応答的に関わることは、子どもの心身を満たし情緒の安定を図るために重要です。抱っこで寝る時は、背中スイッチ対策として、布団に下ろす際に30分待つコツも試してみましょう。また、抱っこひもやスリングを上手に活用する方法もおすすめです。
2. 生活リズムを整え、安全で快適な睡眠環境を作る
昼夜逆転を防ぐため、日中は光や音を入れて活動を促し、夜は静かで暗い環境を準備しましょう。安全なベビー布団を整え、快適な温度と湿度を整えることが、スムーズな眠りに入るための重要なコツです。温度差をなくすために布団を温めたり、仰向けに寝かせたりするなど、窒息やSIDSを防ぐための安全基準を徹底しましょう。
3. パパ・ママの協力体制を整えて楽を選ぶ
新生児の育児は一人で抱え込まず、パパとママで時間を別にして休息を取る方法を試しましょう。パパが積極的に育児に参加し、ママの休息時間を確保することは、ママの体力の安心と心に余裕を持つために必要です。大人自身がリラックスできる状態を維持することが、子どもに最善の環境をくれることに繋がる、大切なコツです。不安や心配がある時は、地域の子育て支援センターなどに相談して、迷わず公的な支援や「楽」を選ぶようにしてください。
生後1ヶ月の時期は、赤ちゃんが急激に成長する大切な時ですが、ママとパパが笑顔でいられることが何よりも大切です。焦らないで大丈夫。優しく自分と赤ちゃんを見守っていきましょう。
今日のコラムが、少しでも心の荷物を軽くしたり、新しい視点のヒントになればうれしいです。 次回もぜひ読みに来てくださいね。
仁和会 理事長 松屋哲雄





