
仁和会理事長の松屋です。子育ては、想像以上に笑いがあって、想像以上に悩みも多いもの。このコラムでは、保育現場や家庭での日常から感じたこと、役立つ情報、ちょっとした気づきをお届けします。
朝の忙しい時間に、「保育園に行きたくない!」と子どもが泣いてしまう。そんな日が続くと、ママやパパは本当に焦ってしまいますよね。仕事の時間も迫る中で、ついイライラしてしまうこともあると思います。「私の育て方が間違っているのかな」と、自分を責めないでください。 実は、登園しぶりは、多くのお子さんが経験する成長の証でもあります。たくさんの研究でも、この時期の葛藤が心の成長に繋がると言われています。この記事では、3歳児の「行き渋り」の理由や、具体的な対応策をお伝えします。一緒に理由を探すヒントや、明日からできる関わり方をご紹介しますね。肩の力を抜いて、リラックスして読んでいただければうれしいです。
【この記事の目次】
3歳の子どもが「保育園に行きたくない」と言い出す主な理由ランキング

3歳になると、急に「園に行きたくない」と言うことが増えます。昨日までは楽しく通っていたのに、なぜ?と心配になりますよね。まずは、よくある理由をランキング形式で見ていきましょう。
第1位:ママやパパと離れるのが寂しい
一番多い理由は、シンプルに「家で家族と一緒にいたい」という気持ちです。子どもにとって、お家は一番安心できる、温かい場所なんですよね。大好きな家族と離れるのが、どうしても寂しくなってしまいます。私たちの園の子どもたちも例外ではありません。毎朝玄関で泣いてしまう子がいました。その子に話を聞くと「ママとお家にいたい」「離れたくない」という素直な気持ちでした。愛情がしっかりと伝わっているからこその、素敵な感情です。
第2位:新しい環境や活動への不安
3歳は、幼稚園や保育園で新しい遊びや集団生活が始まる時期です。少しずつルールを覚えたり、お友達との関わりが増えたりします。その変化に心がついていけず、戸惑ってしまうことも少なくありません。例えば、「今日の運動が、遊びが、嫌だ」など、具体的な理由があったりします。大人でも、初めての場所や仕事は少し緊張してしまいますよね。子どもも同じように、ドキドキしながら毎日を頑張っているのです。
第3位:心と体の疲れがたまっている
「なんだか眠い」「今日はのんびりしたい」という日も当然あります。毎日の登園や遊びで、子どもなりに疲れがたまっているのですね。大人が「休みたいな」と思うのと同じで、自然な反応と言えます。体の成長が著しい時期なので、エネルギーをたくさん消費しています。「何となく気分が乗らない」というのも、立派な理由の一つです。そんな時は、少しペースを落として様子を見てあげることも大切です。
保育園に行き渋る3歳児の心を発達の視点から理解する

2歳から3歳にかけての時期は、心の成長がとても活発になります。この時期の心理状態を知ることで、行き渋りの見え方が変わるかもしれません。
自我の芽生えと「自分で決めたい」気持ち
心理学の研究では、この時期は「できることとできないこと」を知る段階だそうです。「自分でやりたい!」という強い自我が芽生える、大切な時期なんですね。だからこそ、親の決めた通りに動くことに、強く反発してしまいます。保育士の先生に教えてもらったのですが、この時期は葛藤の連続だそうです。「甘えたい」けれど「自分で決めたい」という間で揺れ動いているのですね。その葛藤の表れが、「園に行きたくない」という言葉になることもあります。
想像力が豊かになるからこその不安
3歳になると、想像力がぐんと広がり、先の見通しが持てるようになります。「保育園に行ったら、あのやりたくない活動があるかも」等と想像できちゃいます。これは、脳の機能が順調に発達しているからこその、素晴らしい成長です。逆に言えば、「先が見えるから怖い」という感情が生まれる時期でもあります。「お友達とうまく遊べるかな」と、人間関係に悩み始める子もいます。子どもの心の中で、とても高度な思考が行われている証拠なんですよ。
「行きたくない」と言う子どもの気持ちに寄り添う声かけ一覧

では、実際に泣いてしまった時、どのような声をかければよいのでしょうか。子どもの心にスッと届きやすい、おすすめの対応策を一覧でご紹介します。
否定せず、まずは気持ちを受け止める
子どもが「嫌だ」と言ったら、まずは「嫌なんだね」と受け止めましょう。「そんなこと言わないの!」と否定すると、心はさらに閉ざされてしまいます。てぃ先生も、まずは子どもの感情に共感することが重要だと指摘されています。ある保護者から「毎朝怒ってしまいます」という相談がありました。そこで「まずは『お家がいいよね』『ママが、パパがいいよね』みたいに共感してみてください」と伝えました。すると、お子さんの態度が少しずつ柔らかくなってきたそうです。
選択肢を用意して、自分で選ばせる
「早く着替えて!」と命令されると、子どもは反発したくなりますよね。そんな時は、「赤い服と青い服、どっちにする?」と選択肢を与えてみましょう。心理学の専門家も、自分で選ぶことで心が落ち着くと解説しています。「どっちの靴から履く?」など、小さな“決定権”を渡してあげるのがコツです。自分で選んだという達成感が、前向きな行動への原動力になります。ゲーム感覚で取り入れると、親も子どもも楽しく準備ができます。
園の楽しみを具体的に伝える
「保育園に行けば楽しいよ」「お友達もまってるよ」という曖昧な言葉では、伝わりにくいです。「今日の給食、大好きなカレーだよ」等と、具体的に教えてあげてください。「大好きな〇〇先生が待ってるよ」「○○くんが待ってるよ」と、安心できる人の名前を出すのも効果的です。先の見通しを持たせることで、不安な気持ちを期待に変えていきます。「帰ってきたら、一緒に絵本を読もうね」と、お迎えの後のお約束も良いですね。「ママやパパは必ず迎えに来てくれる」という確信が、登園の勇気になります。
子どもの登園を前向きにする朝のルーチンと工夫を探す

時間の余裕は、心の余裕に繋がる
いつもより15分だけ、早起きをしてみるのも一つの方法です。時間に余裕ができると、親の心にも余裕が生まれ、笑顔で接することができます。私たちの園に通うある親子は、朝に短いふれあい遊びを取り入れました。子どもが好きな「イッセーの、で好きなものを選ぶ」「ブロックで何か一緒につくる」「絵本を一緒によむ」等一緒に遊んでから準備を始めると、スムーズになったそうです。ほんの少しのスキンシップが、子どもの心を満たしてくれるんです。
朝のお支度をゲーム感覚で楽しむ
「どっちが早く着替えられるか競争ね!」と、遊びを取り入れてみましょう。「靴下さん、どこに隠れているかな?」と探す遊びにするのも良いですね。子どもは「楽しいこと」が大好きなので、自然と体が動くようになります。毎日の支度を、いかに楽しく乗り切るか!が親の腕の見せ所です。完璧を求めず、「少しでもできたら大げさに褒める」のがポイントです。「できたね!すごい!」という声かけが、子どもの自信に繋がります。
スキンシップで安心感をチャージ
玄関で離れる時に泣いてしまう場合は、ぎゅっと抱きしめてあげてください。「大好きだよ」「頑張ってね」と、愛情をしっかりと言葉と体で伝えます。この「安心のチャージ」が、園で1日を過ごすエネルギーになります。「魔法のボタン」のようにお互いの手のひらをタッチする儀式も効果があります。「寂しくなったら、このボタンを押してね。ママと繋がっているよ」と伝えます。目に見えない繋がりを感じることで、子どもはとても安心できるのです。
子どもを保育園に行かせるべき?休ませるべき?判断のポイント

あまりにも激しく泣く日が続くと、「休ませた方がいいのかな」と悩みますよね。そんな時に、どのように判断すればよいか、いくつかの基準をご紹介します。
体調不良が隠れていないか確認する
まずは、熱がないか、食欲はあるかなど、身体の状態をよく見てください。言葉で「痛い」「苦しい」と伝えられず、ぐずっている場合もあったりします。もし心配な症状があれば、無理をさせずに受診を優先してください。また、精神的な疲れから、お腹が痛くなるなどの症状が出ることもあります。不安が強い場合は、園の先生や小児科医、地域の子育て支援センターに相談してください。専門家のアドバイスを受けることで、親も安心して対応できます。
思い切って休ませることで解決することも
もし仕事の調整がつくのであれば、思い切って1日お休みするのも手です。「今日はお家でゆっくりしようか」と伝え、存分に甘えさせてあげてください。心のエネルギーが満タンになれば、翌日はケロっと行くことも多いです。私たちの園でも保護者の方がお休みの時なんかは、子どもとお出かけする等、子どもとの時間をしっかり作る親子がいます。一日ゆっくり過ごしたことで、翌日からは笑顔で登園できるようになることもあります。「休ませたら癖になるかも」と心配はあると思いますが、心配しすぎず、柔軟に対応してみてはいかがでしょう。
家庭と保育園の連携で子どもの「行き渋り」を乗り越える方法

行き渋りの悩みは、決してご家庭だけで抱え込む必要はありません。保育園の先生たちとしっかり連携することで、解決の糸口が見えてきます。
連絡帳や送迎時に悩みを共有する
朝の様子や、お家で言っていたことを、遠慮なく担任の先生に伝えてください。「今朝は〇〇が嫌だと泣いていました」と共有してもらえると助かります。保育士も、その日のお子さんの気持ちに寄り添った対応がしやすくなります。保育士さんたちが日々大切にしているのは、保護者との何気ない会話です。お家での様子を聞くことで、「では園ではこうしてみよう」と工夫できます。先生たちは子育てのプロなので、一緒に悩みを解決する心強い味方です。
保育士と一緒に対応策を考える
「お家ではこうなんですが、園ではどうですか?」と聞いてみてください。実は「親と離れる時は泣くけれど、その後は楽しく遊んでいる」という子は多いです。それを聞くだけでも、ママやパパの心は随分と軽くなるはずです。もし、園に馴染めず泣いている場合は、先生と一緒に作戦を練りましょう。「朝は〇〇遊びに誘ってみますね」など、具体的な提案をしてくれます。家庭と園が両輪となって支えることで、子どもは必ず安心して過ごせるようになります。
まとめ:焦らず子どものペースで園生活に向き合うために

いかがでしたでしょうか。3歳の登園しぶりについて、様々な角度から見てきました。最後に、この記事の重要なポイントを箇条書きで整理しておきますね。
・行き渋りは、心が豊かに成長している証拠でもある
・頭ごなしに否定せず、まずは「行きたくない」気持ちを受け止める
・朝の準備に選択肢や遊びを取り入れ、心に余裕を持たせる
・無理をせず、時には休ませて心のエネルギーをチャージする
・一人で抱え込まず、いつでも保育園や周りの人を頼ってください
子どもが泣いている姿を見て、後ろ髪を引かれる思いで出勤する。そんな毎日を乗り越えている親御さんたちは、本当に素晴らしいです。お子さんの成長の過程には波がありますが、必ず落ち着く時が来ます。保育園だけでなく市の子育て支援機関なども、ぜひ積極的に活用してみてくださいね。
今日のコラムが、少しでも心の荷物を軽くしたり、新しい視点のヒントになればうれしいです。次回もぜひ読みに来てくださいね。
仁和会 理事長 松屋哲雄





