
仁和会理事長の松屋です。
子育ては、想像以上に笑いがあって、想像以上に悩みも多いもの。このコラムでは、保育現場や家庭での日常から感じたこと、役立つ情報、ちょっとした気づきをお届けします。
子育てを行う上で、しつけのため、危ないことをさせないため、様々な理由で子どもを注意しなければいけない機会があります。しかし、私たちの園でも保護者の方々から相談を受けることもありますが、叱り方でお悩みの方も少なくありません。そこで今回は「上手な叱り方」についてお話したいと思います。
子育ての中で「子どもを叱る」という場面は避けられません。しかし、間違った叱り方をすると、子どもは叱られた理由を理解できず、逆効果になってしまうことがあります。上手な叱り方を身につけることで子どもの成長を促し、子どもが親子の信頼関係を深めて、正しい行動を取ることが出来るように促すことができます。本記事では、子どもの叱り方の基本や、感情的にならずに伝えるポイント、やってはいけないNGな叱り方について詳しく解説します。
【この記事の目次】
子どもを叱る理由とは?

1.叱ることは本当に必要?
子どもを叱る理由は、「ルールやマナーを理解させること」「危険な行為を防ぐこと」「社会性を身につけること」にあります。子どもはまだ自分で正しい行動を選択することが難しく、大人の助けが必要です。そのため、叱ること自体は決して悪いことではなく、正しく行えば、叱ることは子どもの成長にとって重要な役割を果たします。
2.叱るときに考えるべきこと
叱る際には、「なぜ叱るのか」を明確にし、子どもが納得できる形で伝えることが重要です。例えば、「おもちゃを片付けなかったから叱る」のではなく、「片付けないと次に遊ぶときに困るから、一緒にやろうね」と伝えることで、子どもは行動の意味を理解しやすくなります。
子どもを上手に叱るポイント

1.感情的にならずに冷静に伝える
子どもがいたずらをしたとき、つい感情的になって怒鳴ってしまうことはありませんか?しかし、感情的に叱ると、子どもは恐怖心から行動を変えるだけで、根本的な理解にはつながりません。
効果的な方法:
- 深呼吸をして落ち着く
- 低いトーンの声で静かに伝える
- 「なぜダメなのか」を具体的に説明する
2.行動を指摘し、人格を否定しない
「あなたはダメな子ね」「なんでそんなこともできないの?」といった言葉は、子どもの自己肯定感を低下させる原因になります。叱るときは、行動にフォーカスして、子ども自身を否定しないようにしましょう。
悪い例:「〇〇君は本当にだらしない!」 良い例:「(おもちゃ等)片付けないと、〇〇君が次に遊ぶときに遊ぶ場所がなくなっちゃうよ」
3.短く、わかりやすい言葉で伝える
子どもの集中力は、まだ長く続きません。どうしても長く説明してしまいがちですが、子どもは途中で集中力が切れてしまい、結局何が悪かったのか理解できずに終わってしまいます。短くシンプルに伝えることを意識しましょう。
ポイント:
- 「走ると危ないよ」
- 「大きな声は控えようね」
4.叱るタイミングを考える
子どもはすぐに注意されたほうが行動を理解しやすいため、問題行動が起こった直後に叱ることが大切です。ただし、興奮しているときに叱ると、話していることに集中できずに逆効果になることがあるため、一度クールダウンしてから伝えるのも方法のひとつです。
5.叱るときは目を見て話す
大人がスマホを見ながら注意したり、背中を向けたまま叱ったりすると、子どもは真剣に聞かなくてもいいと思ってしまい、伝えたいことが伝わりづらくなってしまいます。目を合わせて、しっかりと向き合って話すことが大切です。
子どもを叱るときのNG行動

1.人前で叱る
大人でもそうですが、子どもも他人の前で叱られると、恥ずかしさや屈辱感を感じることがあります。できるだけ人目を避け、落ち着いて話せる場所で叱るようにしましょう。
2.叱る内容が一貫していない
あるときは許され、あるときは叱られると、子どもは混乱してしまいます。親の気分や状況によってルールが変わらないように、一貫性を持った対応を心がけましょう。
3.長時間叱る
子どもにとって、長時間叱り続ける事は効果がありません。伝えたいことを簡潔に伝え、短時間で済ませるようにしましょう。
4.感情的に怒鳴る
強い言葉で怒鳴ると、その場では正しい行動を取ることができるかもしれませんが、多くの子どもは委縮してしまい、叱られた内容を理解する前に「怒られた」という記憶だけが強く残ってしまいます。冷静に話すことが大切です。
5.「〇〇しないと嫌いになる!」と脅す
「〇〇しないとママは嫌いになるよ!」などの言葉は、子どもにとっては大きな不安を生んでしまいます。愛情を疑わせるような発言は避けましょう。
子どもを上手に叱るためには、感情的にならずに冷静に伝え、行動を具体的に指摘することが大切です。適切なタイミングで、短くわかりやすい言葉で伝えることで、子どもはルールを理解しやすくなります。一方で、感情的に怒鳴る、人前で叱る、脅すような言葉を使うと、子どもの自己肯定感を損ない、逆効果になることもあります。
年齢別の叱り方の具体的な方法

1. 0〜2歳:赤ちゃん・幼児期の叱り方
この時期の子どもは、まだ言葉の理解が未熟であり、感情のコントロールも難しいため、厳しく叱るのではなく、安全を確保しながら適切な行動を教えることが重要です。
叱り方のポイント:
- 短くシンプルな言葉で伝える:「ダメ」「危ない」等と簡潔に伝える。
- 手を添えて制止する:言葉だけでなく、行動を制止することで理解を促す。
- 注意をそらす:「これは触っちゃダメ。でもこっちはいいよ」とやっていいことを示す。
- スキンシップを増やす:叱るだけでなく、日常的に抱っこや笑顔で安心感を与える。
2. 3〜5歳:幼児期の叱り方
言葉の理解が進み、自分の気持ちを表現できるようになるが、まだ感情のコントロールが難しい時期。叱る際には「なぜダメなのか」を具体的に説明し、代わりの行動を提案することが大切です。
叱り方のポイント:
- 具体的な理由を伝える:「おもちゃを投げると壊れちゃうよ」など。
- 選択肢を与える:「片付けるか、一緒にやるかどっちがいい?」と選ばせる。
- 一貫した対応をする:「昨日は許したのに今日は叱る」ではなく、毎回同じ基準で対応する。
- スキンシップで安心させる:叱った後は「大好きだよ」等と愛情をしっかりと伝える。
3. 6〜9歳:小学生の叱り方
小学生になると、子どもはルールを理解し始めるが、感情的になってルールを破ることもあります。この時期は、理由を明確にし、子ども自身が考えられるよう促すことが重要です。
叱り方のポイント:
- 「なぜダメなのか」を説明する:「遅刻すると先生や友達が困るよ」。
- 子ども自身に考えさせる:「どうすれば次はうまくできる?」と質問する。
- 感情的にならず冷静に伝える:「〇〇だからよくないよ」と論理的に話す。
- 前向きな言葉をかける:「次は頑張ろう!」と励ます。
4. 10歳以上:思春期の叱り方
思春期の子どもは、自我が強くなり、大人と対等に意見を持つようになります。頭ごなしに叱ると反発を招きやすいため、対話を重視することが重要です。
叱り方のポイント:
- 「どう思う?」と意見を求める:一方的に叱るのではなく、子どもの考えを聞く。
- 頭ごなしに否定しない:「あなたの気持ちはわかるけど、こういう理由で良くないよ」と伝える。
- プライドを尊重する:人前で叱らず、落ち着いて話せる場所で伝える。
- 信頼関係を大切にする:「いつでも相談して」と伝える。
叱る場面別の具体的な対応

1.ルールを守らないとき
子どもはルールの大切さをまだ理解しきれていないことが多いので、ルールの意味を伝えながら注意することが大切です。
対応方法:
- 「ルールはみんなが気持ちよく過ごすためにあるよ」等と伝える。
- 何度も破る場合は、具体的な理由を再確認する。
- 守れたときにしっかり褒める。
2.友達を叩いたり、乱暴な行動をしたとき
子どもが友達を叩いたりするのは、感情を言葉で表現するのが難しいために、感情が高まってしまって叩く等の行動に現れます。まずは冷静に対応し、言葉で気持ちを伝える方法を教えましょう。
対応方法:
- すぐに落ち着かせて「どうして叩いちゃったの?」と聞く。
- 相手の気持ちを考えさせる:「〇〇ちゃんはどう思ったかな?」「(叩かれて)うれしかった?嫌だったかな?」等と聞いてみる
- 謝ることの大切さを伝え、一緒に謝る練習をする。
3.宿題や片付けをしないとき
子どもがやるべきことを後回しにするのはよくあることですが、叱るだけでなく、習慣化させる工夫が大切です。
対応方法:
- 「片付けをすると気持ちよく過ごせるよ」等と伝える。
- 時間を決めて一緒にやる。
- 終わったら「頑張ったね!」と褒める。
叱った後のフォローが重要

子どもを叱った後に放置すると、「親は自分を嫌いになったのでは?」と不安を感じることがあります。そのため、叱った後のフォローも重要です。
フォローのポイント:
- 「(子どものことが)大好きだよ」と伝える
- ハグやスキンシップを取る
- 普段どおりの態度で接する
子どもを叱るときに意識したい心構え
- 怒るのではなく「伝える」意識を持つ感情的にならず、「何を伝えたいのか」を明確にする。
- 子どもの人格ではなく「行動」を叱る「あなたはダメな子」ではなく「この行動は良くない」と伝える。
- 大人もルールを守る姿勢を見せる子どもは親の姿を見て学ぶため、親自身もルールを守ることが大切。
- 完璧を求めず、成長を見守る叱ることは教育の一環だが、すぐに完璧を求めるのではなく、長い目で成長を見守る。
まとめ

子どもを上手に叱るためには、年齢や状況に応じた適切な方法を選ぶことが重要です。感情的に怒るのではなく、冷静に伝え、特に大切にしたい事は、“子どもが理解できる形”で叱ることです。大人が思っているよりも、子どもに伝えることは難しいと理解することが大切です。また、叱った後のフォローを大切にし、子どもが安心して親を頼れる環境を整えることも重要です。
今日のコラムが、少しでも心の荷物を軽くしたり、新しい視点のヒントになればうれしいです。 次回もぜひ読みに来てくださいね。
仁和会 理事長 松屋哲雄





